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野中信行氏講座『「味噌汁・ご飯」授業を提起する』感想記録

2010.06.21 Monday 20:47
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    野中2

    1 群れを集団に変える


     
     野中先生は37年間学級担任を勤め上げて3年前に退職し,現在は横浜で初任者指導に あたっている。週3日朝から一日学校で過ごし放課後に指導助言をしているとのこと。
     
    「今の新採は1・1・1の危機がある。(1週間1ヶ月1学期)700人もの新採がいる横浜では,この間に学級崩壊を起こして苦しみ,やめていく先生が本当にたくさんいる。
    この1・1・1を乗り切りさえすればどうにかやっていけるのだ。」と言われる。

     担当している初任の方は2年生を担任しているのだが,そのクラスはとにかくやんちゃぶりがすさまじい。運動会後に懇談会を開いたところもっと「厳しくしてほしい。」との保護者からのクレームがたくさん。しかしその先生はよく叱っていた。
     この5月から6月は,「群れ」を「集団」にする手立てをどんどん取っていく期間である。北風から太陽方式に変えていくのである。
     そこで太陽方式の一つであるはかせ方式を提案した。これは有田先生のプロを博士に変えて低学年になじみ易く命名したものだ。
     その先生は,さっそく,掃除はかせ 給食はかせ 勉強はかせ 片付けはかせなど今困っていること4つを博士にしたようである。画用紙にはかせ名を書いて,その下には子どもたち全員の名簿を貼り,一つずつ○をつけるようにしてある。
     掃除をしている時でも,いい動きを見つけたら「○○さん掃除はかせ!」と言ってあげる。すると子どもは喜んで鉛筆で○をつけにいく。
     これで,先生はさぼっている子どもを叱ったり,さかんに指示を出したりする必要がなくなった。
     子どもたちは自分たちでどんどん終えてしまう。
     この「はかせ方式」で、掃除もとてもすばやくできるようになった。 
     はかせ方式は「朝自習はかせ」「読書はかせ」「ノートはかせ」「したじきはかせ」など、学級の目標やめあて、困っていることなどに合わせて、どんどん作っていくことができる。クラス全員の子どもがどこかの「はかせ」に入れるようにすることが必要である。
     しかし,この方式は、4年生までしか通用しないと思われる。
     高学年は、ちょっと無理がある。「そんなのになったってつまんない」という声があれば,もう意味がないからである。
     
    この博士方式については野中先生のブログ「風邪に吹かれて」に詳しい。
    http://nonobu.way-nifty.com/blog/2010/06/post-ed41.html

    2 授業をつくる


     その日暮らしの学級経営では今の学校は戦えない。
     4月に係や当番を決めてこれを学級づくりの基盤と考えて,そのまま日々の授業をし,行事をこなしていくと3月の段階でも,クラスはばらばらのままとなってしまう。

    IMG_0025


     確固たる学級づくりを基盤として,その上に授業・行事を展開させていくことが必要。
     では授業とはなにか。
     
    (1) ごちそう授業
    有田先生の授業の定義はこうである。
    「これだけは何としても教えたい」という内容を子供が「学び隊・調べたい・追究したい」と思うように転化すること。
     そのために教材研究をするには,「何を教えたらよいか」そのエネルギーをつかむ。  
    1. 教科書を最低20回読む
    2. 資料を読む。指導書も読む
    3. 1つの資料をつくるには20冊から30冊の本が必要

     授業の内容が決定したら資料を集め資料を作成する。
     そして発問・指示が浮かぶまで教材研究を徹底的にする。
     こうして授業をつくるのである。

     私はこれを「ごちそう授業」と呼んでいる。
     確かにごちそう授業のためには深い教材研究をするので,子供はわくわくどきどきし,しかも学力もつく。

    ところで,学校での校内研究は
    • 1回の研究授業をする。
    • 深い教材研究をして授業を公開する。

     というのがほとんどだが,それは何のために行っているのだろうか?
    1. 指導法を互いに学び合うため
    2. 子どもの学力を向上させるため。
    3. 教材研究の方法を身につけるため
    4. だれが授業がうまいか,へたかを明らかにするため。

    どれだろうか?
     
     研究授業は,日常授業を変えていくものになり得たのかが,問題である。
     研究授業が「定例行事」や「それはそれ」というものであってはいけない。
     「ごちそう授業」の役割は,教材分析や指導法の研究である。
     それらを通して得たものは日常授業に反映されるものであってほしい。

    (2)日常授業の問題点
     研究授業などのごちそう授業は数時間である。ごちそう授業は日常の授業を変えていく起爆剤としては意義がある。普通の先生たちは1年間に1000時間の授業を持っている。
    この「日常の授業」をいかに充実させていくかが重要なのであるが,今危機に瀕している。
    「その日暮らし」授業をしているのである。どんな授業をしているのか?
    • 授業時間があるから授業をしている。
    • 先生が思いつきで発問し、数人の子供が答える。それで先に進む。
    • 発問なのか、指示なのか、説明なのか、はっきりしないまま授業は進む。

     こんな感じだ。
     今まで「ごちそう授業」づくりに盛んに勢力を使ってきたそのベクトルの方向を,「日常授業」の方へ振り向けていくこと。「その日暮らし」授業を改革していこうという方向を現場の中心に据えていくことが必要だと考える。


    (3)日常授業の改善
    《転勤先の小学校での取り組み》
     赴任した小学校は学級崩壊などで学校が荒れていたため,「3年学校」と呼ばれ,3年我慢して勤務し,かわっていかれる先生が多かった。
     400人弱の児童数のうち,就学援助を受けていた児童が100名以上。
     片親が100人近く,なおかつ朝ご飯もまともに食べて来ないという児童が多かった。
     さまざまな事情を抱えている児童たちが多いこともあり,学校全体が荒れていた。
     当然,学力も低い。
     この現状を打破するために,まずアンケートをとった。
     すると,算数が大嫌いがダントツで1位
     5年生の3分の1がかけ算九九が分からないのであるから当然である。
     2位が国語嫌いであった。
     この現実に真正面からぶつかろうと算数の授業と国語の授業の改革を3年計画で始めた。
     これは日常の授業をいかに充実させるかがポイントであった。
     次のような取り組みをした。
     
      算数授業の改革(3年間)
    1. 5分間の計算タイム
    2. 教科書を中心に使いましょう
    3. 4分割授業
         計算タイム(5分)復習タイム(5分)本時(30分)復習(5分)


     国語授業の改革(3年間)
    1. 5分間の音読タイム
    2. 5〜10分間の漢字タイム(辞書タイム)
    3. 本時(30〜35分)


    全てのクラスで国語と算数をこのステップで進めていったところ2〜3年で大きな変化が見られた。もちろん学力は向上したし,学級崩壊がなくなった。見事に「3年学校返上」となったのである。
      1人の100歩よりみんなの1歩 の大きさをかみしめた。

    《札幌市立山の手南小学校の取り組み》
    「日常授業」をキーワードに検索していたところ,札幌市立山の手南小学校が研究テーマを「確かな学力を育成する日常授業の改善」として取り組んでいることを知った。
           http://www.yamanoteminami-e.sapporo-c.ed.jp/

    この学校は問題意識を次のように持った。
    • 教師の思い込みで教えていないか?  
    • 結局同じ子ばかりが発表していないか?
    • 子供に変容は起きているのか?
    • 教師は的確に説明しているのか?
    • ノートに書く量は不足していないか?
    • 子供を笑わせれば楽しい授業なのか?


      研究主題 確かな学力を育成する日常授業の改善
        改善の柱
    1. 指導法の改善
    2. 研究方法の改善
    3. 学習規律の改善

     
     この研究紀要に書かれていることがすばらしい。
     実際に訪問して校内の授業も全クラス見せていただいた。板書,ノート指導が学校全体で統一されていることに大変感銘を受けた。

    3 「味噌汁・ご飯」の授業


     味噌汁・ご飯の授業とは確かな学力を育成することが目的なのである。
     味噌汁・ご飯の授業の目標は
    1. 全員参加の授業
    2. 活動のある授業


    そのための条件は
    1. 日常的であること
    2. 飽きが来ないこと
    3. 栄養価が安定していることである。

    この栄養価とは学力を育成するための本時のねらいがはっきりしていてそれが達成させることである。

    (1)授業構成の工夫
    1. 全員が参加していく授業構成にする。
       4.5人の子供たちの発言で成り立っていく授業ではその日暮らしの授業である。
      それを克服していかなければならない。

    2. できるだけ活動がある授業構成にする。
      そのために
      • 発表する。
      • 音読する。
      • 書く。(ノート発言,黒板発言,プリント発言)
      • 物の操作(ブロック,おはじきなど)
      • 作る,描く。
      • ゲームをする。
      • 体を動かす。



    (2)基礎基本の技術10ヶ条(試案)
    1. 本時目標をまず意識せよ(1つか2つ)
      ○ この1時間で何を学ばせたいのか明確にする。1つか2つ。
      ・〜理解する。
        ・〜知る。
      ・〜気づく。   など

    2. 指導言を整えよ
      ○ 発問・指示・説明の区別する。
      • 発問・・・問いかけ
        発問後ノートに書かせるかすぐに発言させるか使い分ける。
        発言の方法 
          挙手発言,ノート発言,黒板発言,プリント発言など
          この4つの方法を上手く使っていって全員参加を意識する。

      • 指示・・・作業などを指示する。
             〜しなさい。〜しましょう。
        指示によって子供たちは静かに作業をする。
        教師は机間巡視をして,指示通りにできているかをチェックする。
      • 説明・・・事柄の内容や意味を分かりやすく話す。


    3. 指示は,一時一事の原則で 
      ○ 一時に一事の指示をすることが鉄則
      ADHDの子供はワーキングメモリー(作業記憶)が1つしか入らない。
      このようなことがあると2次障害へとなり得る。
      →T:算数の教科書の23ページの4番をやりなさい。
      C:先生,どこやるの!
      T:今言ったでしょう!何を聞いていたの!
      指示の改善
           T:教科書を机の上に出しましょう。(確認)
           T:算数の教科書の23ページを開きましょう。(確認)
      T:4番をやりましょう。 

    4. 傍観者を作らない
      「夕日が背中をおしてくる」の詩の授業をどう展開させるか。隣の人とペアになって15分ほど考えた。
      参加者2人に構想を発表してもらった後、野中先生が模擬授業をされた。

      ○傍観者を作らないために友達の発言や発表に対して○,×をつけるなどして自分の立  場をはっきりさせる。
          
            指名して読ませ,その読み方を○か×かで,評価
      • 1人を指名して音読させる。  
      • 『とてもよかったと思う人はノートのすみに○,もう一歩だと思う人は×を つけましょう。わけも考えてください。』
      • 傍観者がいたら目ざとく見つけこのような問いかけをしてみる。
         T『自分は○か×かで,手を挙げてもらうけど、〜君は,どっちが多いと思   いますか。』
         C「○・・・・。」
         T:『○の人』・・・・多数。
         T:『×の人』・・・・2人
      • それぞれ,指名してわけを発表してもらう。


      5段階で評価
      • どう読むか,4つの注意点を示し,それを踏まえて音読の練習をさせる。
      • 練習後,指名して読ませる。
      • 5段階で評価させ,同じように5から順に挙手させて評価をみる。
      • 音読の技術を高めて行く方法としてこのような展開の方法もある。
      • また,このような教材の場合,群読にもっていくとより活動が活発になる。


    5. 説明は短く
      ○子供が一番飽きるときは教師の説明の時間である。
       ・くどい,長い ・意味不明 ・だらだら
         このような説明には子供は苦痛を感じるだけである。
         
    6. 机間巡視は、1つのことのチェック 
      ○何をチェックするかを決めて机間巡視をする。
      • 机間巡視をしているうちに1人の児童にかかりきってしまうと,つまり机間指導になってしまうと,他の児童が騒ぎだしてしまうことがある。

      机間巡視の目的
      1. 指示した作業がなされているかどうかの点検をする活動
      2. 一人一人の子供たちの反応の違いを見る活動
      3. これからの授業の進め方を検討する活動


         「新卒教師時代を生きぬく心得術60 野中信行著」より


    7. テンポのいい授業を
      • 子供たちの授業への乗りを確保するためにはこのテンポが重要である。
      • 先にあげた算数の4分割授業のように毎回同じパターンで授業を展開していくことで子どもに1時間の流れのリズムもついてくる。


    8. 個別評価を意識せよ

    9. 授業はノート指導と心得よ
      ○ノート指導は学習の命である。
      • 日付と小見出しをつける。
      • 定規を用意し線は全て定規を使う。

      など徹底させる約束事を決める。時々ノートを集めて点検をするとよい。

      10 子供への視線を鍛えよ
      ○いつも子供たちに視線を向けて話をする。
      • 子供の方を向いているだけではなく,子供が何をしているかどんな様子かしっかり把握する。


      (3)学習規律の徹底
      山の手小学校の場合は以前は全て学級担任の指導にゆだねられていた学習規律を全校で取り組み,一定の基準を設けた。
      学習規律の統一
      1. 文房具(筆入れの中身・筆記用具
      2. ノート指導
      3. 授業に向かう姿勢(学習のしつけ)
      4. 教室の掲示物
        • 教室装飾は必要最低限に
        • 黒板の周辺に貼る掲示物の見直し


      学習規律は全職員で話し合い,全校で統一させていくことが重要である。


    4 私たちの構想



    「味噌汁・ご飯」授業板 国語メソッドを作ろうと意識している。

    初任者の先生方が一番悩むのが国語の授業である。
    他の教科は指導書を読めばそれなりに授業ができるのだが,国語の指導書はゴチャゴチャと書かれているため使いにくい。
    そこで
    • 物語文の基本型
    • 説明文の基本型
    • 詩の基本型
    • 作文指導の基本型
    • 漢字指導の基本型

    などを作ろうと考えている。 

     例えば説明文の基本型はこんな感じである。
    1. 内容の理解・要約指導
    2. 構造の理解・段落指導
    3. 読解技能の体得


    初任の先生がこの基本型に基づいて単元の展開を考えていけば70点の「味噌汁・ご飯」の授業を作ることができるようになると考える。


    *野中先生のあたたかい笑顔,熱い眼差し,楽しくもあり熱い語り口の中であっという間に約2時間の講座が終わった。話を伺いながら,野中先生に指導して頂いている初任者の方が羨ましいなあとずっと思っていた。応募者の中から抽選で選んでいるのかしら?
     とにかく日常の授業をいかに充実させていくかそれが非常に重要であることを改めて感じた講座であった。授業づくりは学級づくりにもつながっていくと思う。授業の中でのルールが明確で気持ち良く守られていると安定した学級となる。また,子供はリズムがあり分かる授業を楽しいと感じるのだと思う。
     学年が変わり担任が替わると,それに伴って学習規律や日常授業の進め方も変わると子供たちは不安定となる。やはり学校全体での共通理解・取組が重要であると思う。
    山の手南小の取組には大いに感銘を受けた。

    (文責:東北青年塾「堀」)



    「第17回東北青年塾 記録」目次

    1. 第1部 模擬授業・ミニ講座
      1. 小川まりも 「詩の授業」
      2. 渡邉謙一 「研修日誌」

    2. 第2部 野中信行氏 講演
      1. 「味噌汁・ご飯」授業を提起する
      2. ライフヒストリー・インタビュー(インタビュアー:阿部隆幸)

    3. 参加者感想







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