○はじめに
今回、中嶋さんがミニ講座で「歴人クイズ」をやると聞いた時、本当に楽しみだった。
2月の 東北青年塾で中嶋さんから聞いていた「歴人クイズ」。
本当なら、3月中ごろフジテレビ系列「平成教育学院」で、放送されるはずだった。
しかし、東日本大震災のため、残念ながら放送されることはなかった。
その「歴人クイズ」を体験できる。
楽しみにしながら仙台へ向かった。
○講座の内容
1 クイズの説明
画面に次の字が一文字ずつ表れた。
占 亀 邪 芸 金 弟 魏 3 王
「上の9つの文字から分かる歴史上の人物は誰か」との問い。
「占」の字を見た瞬間、「卑弥呼かな…?」と思う。
3文字芽の「邪」で「ああ、邪馬台国だ!」と確信する。
この問題だけで、「歴人クイズは面白い!」と実感した。
中嶋さんからなぜ歴人クイズを行おうと考えたか、説明があった。
(めざす子どもの姿)
○みんなが活躍する
○友達と協力するよさを実感する
○全員が同時に活動する
最初、どうしてこの「歴人クイズ」から、この3つの姿を目指すのかが正直分からなかった。
しかし、その後の問題づくり→答えと体験していく中で、その考えが浅かったのだと気づくことになる。
次に、子どもたちが、歴人クイズで盛り上がっている映像が流された。
子どもたちがものすごく盛り上がっている。
本当であればこの様子がテレビに出ていたのだろうな…とふと思う。
2 問題づくり
問題の作り方について説明があった。
(問題の作り方)
(1)ヒントを9つ考える
(2)ヒントを出す順番を決める
(3)ヒントを出す担当を決める
以上を班で協力して作るように指示があった。
各グループ4~5人、全部で7つのグループに別れて問題作りが始まった。
資料の中に、出題する人物が書いてあるという。
「だれだろう?」
資料を見てみると「板垣退助」に関する問題を出題せよとのこと。
その資料を見た瞬間、グループのみんなも私も思わず「おーっ」と声が出る。
他のグループからも同じような声が漏れる。
まさか、この人物とは!
この人物をどのように出題しようか…
そんな思いが声に表れていたのだろう。
配布された資料をもとに、問題を考えていく。
「どの文字がいいだろうね?」
「そういえば、昔、お札に使われていたよね」
「何円札だったかな?」
「やっぱりこの顔だから髭はかかせないでしょ」
「国、自、議、建は欠かせないよね」
話し合いながら、
「なるほど。友だちと協力するというのは、このことを言うのだな!」
と思う。
ただのクイズにとどまらない面白さがあると体験しながら考える。
他のグループからも
「おーっ!」
「なるほど!」
と声があがっている。
たぶん、文字が決まっているのだろう。
各グループともかなり盛り上がっている。
3 答え方の説明
時間の都合上、一つのグループが出題することになった。
なんと選ばれたのは自分のいたグループだった。
本当は前に出ればよかったのだが、記録ということもあって、みなさんにお任せした。
他のメンバーが、ホワイトボードの前で出題の準備をしている間、中嶋さんから、解答方法について説明があった。
(答え方・解答用紙の説明)
(1)書かれた漢字をもとに、人物を考える。
(2)答えは班で1つ考える。
(3)答えを相談する時は、答えを言わないように、紙に筆談をする。
(4)答えが分かったチームは「ファイナルアンサー」と宣言をする。
(5)「ファイナルアンサー」を宣言したら、答えを変えることができない。
(6)ヒントが少ない段階で答えるほど、ファイナルアンサーポイントがつく。
(ヒント1で正解なら+8点、ヒント2で正解なら+7点…)
(7)出題したチームは、ヒントを全部書いたら正解を発表する。また、ヒントの解説をする。
(正解したチームは10点)
解答の仕方も工夫されている。
早くファイナルアンサーしたチームに高得点となるシステムが面白い。
答えを決めるのにも相談しなければできないシステムになっている。
自然と協力しなければならない状況になっている。
4 解答
代表のグループが文字をひとつひとつ書いていった。
国自100髭議建開死板
文字が書かれる度に、各テーブルから、「えーっ?」「あっ!」と声が上がった。
それぞれのテーブルでは、配布された白紙に、筆談で答えを書いている様子が見られた。
ここにも力を合わせる場面がある。
二文字目には早くも「ファイナルアンサー」と声が上がった。
問題が難しかったのか、それとも勘のよい方ばかりが集まっているのか。
その後も一文字ずつ明らかになるごとに、
各テーブルから
「やっぱり!」
「はいはい、そうだよ。」
とつぶやかれていた。
漢字をすべて書き終わった後にも中嶋さんの意図している場面が用意されていた。
みんなが活躍する場面として、文字を書いた人がその意味を説明した。
説明するためには、なぜその文字にしたかが分かっていなければならない。
自然と説明の仕方も工夫する。
「歴人クイズ」は奥が深い。
5 終わりに
中嶋さんは、この歴人クイズのよさとして、
○みんなが活躍する=各自に責任がある
○友達と協力するよさを実感する=友だちと力を合わせることによって得るものがある
○全員が同時に活動するー全員が同時に活動する仕組みがある
の三点を挙げていた。
納得である。
体験しながら、上の三つが意図的に仕組まれていることを実感することができた。
○質問・意見
・いつ頃から歴人クイズを行うのか、と質問が出た。
中嶋さんからは、人物をある程度覚えた、室町時代ころから行うと話された。
・他の教科でも転用できるのではないかと意見が出た。
○感想
想像していた以上に、「歴人クイズ」の面白さ、奥の深さに魅了された。
社会科でのクイズ以上に、子どもたち同士の人間関係づくりもできるのが凄い。
また、一人ひとりの役割がはっきりしているところも素晴らしい。
また質問にも出されていたが、いつからこの歴人クイズを始めるかもポイントなのだろう。
どの時期に行うかで、求めるものも変わってくるだろう。
例えば、ある程度社会科の授業の流れが分かったころ、4月の終わりごろにやってみても面白いかもしれない。
また、この方式で都道府県のクイズにしてみても面白いだろう。
年度末、国語の復習として、どの物語の話しか?というのを歴人クイズ形式でやってみてもいいかもしれない。
様々な転用の仕方が考えられるクイズだと思う。
まずは今度、自分自身で子どもたちとやってみたい。
(文責「東北青年塾」:菊池)
「第21回東北青年塾 記録」目次
- 第1部 東北青年塾生模擬授業&ミニ講座
- 第2部 杉渕鐵良先生講座「『子ども集団を動かす魔法のワザ」の実際』」
- 第3部 杉渕鐵良先生ライフヒストリー・インタビュー(インタビュアー:阿部隆幸)